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No Rules / KIK TRACEE
火薬バカ一代 ★★ (2018-12-30 09:00:49)
《ロックンロールの火を放て!女たちはヒステリックな悲鳴とともに下着を濡らし、男どもは興奮でつかみ合いと拳の応酬に身を焦がす》――ってな、飛ばしまくりの帯の惹句を読むと「80年代の作品かな?」と思わずにはいられませんが、実際はSLAUGHTERのディナ・ストラムのプロデュースを受け’91年に発表されているLAの5人組の1stアルバム。(というか唯一作?)
デビュー前からライブハウスで腕を磨き、名を上げ、レコード契約を勝ち取った連中だけに(バンド名も、ある時彼らの強力なライブ・パフォーマンスで狂乱状態に陥った女性ファンを他の客が蹴り出そうとしたことに因む)、逞しい演奏力と多彩な表現力に支えられたロックンロール・サウンドには、理屈抜きで乗せられてしまう(腰に響く)ワイルドなノリの良さが備わっています。ただ、「LIVING CLOURとTHE CULTとGUNS ’N’ ROSESを一つの煮えたぎる鍋にぶち込んでかき回してみるとKIK TRACEEになる」とのメンバーの言葉が明瞭に本作の音を説明してくれている通り、健康的な抜けの良さよりも、爬虫類系の声質でねっとり歌うVoやヘヴィな横ノリ・グルーヴが醸し出す妖しげなメロディ、ダークな雰囲気が勝る辺りは、やはり90年代の作品だなぁと。
正直、全15曲、64分オーバーの収録時間はハシャぎ過ぎたとしか思えませんし、アルバムで聴くよりもライブで体験した方が楽しめそうな作風ではあるのですが、それでも彼ら独特のメロディ・センスが活かされたOPナンバー①、サイモン&ガーファンクルのカヴァーを自己流に昇華してみせた②、土の香り漂うバラード⑥、ムーディな⑪等、優れた楽曲の数々がバンドの地力の高さをしっかりと伝えてくれる作品であることは確か。
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