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Fighting the World / MANOWAR
火薬バカ一代 ★★ (2007-06-07 21:39:00)
メジャー・レーベルのATCOに移籍して'86年に発表された、MANOWAR史上最大の問題作として知られる5thアルバム。
かつては「こんなポップなアルバムはらしくない」「ジャケットもKISSの『DESTROYER』のパクリじゃん」とボロクソに貶されていたが、現在ではどちらかと言えば「前半(①②③④)に明るめの曲が並ぶだけで、後半はいつも通りのMANOWAR節が堪能できる作品」との、冷静な評価がファンの間では大勢を占める。
個人的にも本作の作風は、ポップではなく「元気溌剌」と表現したいところだし、もしポップに聴こえるのなら、それは楽曲よりも、クリーンでカラッと垢抜けた、健康的(?)なサウンド・プロダクションに因るところが大きいと思われ。
まぁ、では(今じゃライブの重要なレパートリーとなった①は兎も角)問題の②③④といった楽曲は優れた出来なのか?と問われれば「それほどでもない」というのが正直な感想だし、再びオーソン・ウェルズの語りをフィーチュアした⑤も“DARK AVANGER"の完成度には及ばない。それゆえ、ポップか否か以前の問題で余り思い入れのないアルバムだったりするのだが、それでもダークで重厚な名曲“HOLY WAR"を含む組曲形式の⑥⑦⑧や、全楽器が一丸となって16分音符を刻む野蛮で勇壮なスピード・チューン⑨は聴かずには死ねない強力な仕上がり。何より、本作でメジャー・アーティストとして一皮剥けたからこそ、次作『KINGS OF METAL』の成功があったんじゃないのかな、と。
その他の作品に比べて「クドさ」が薄い作風ゆえ、もしかするとMANOWAR初体験者の入門書に最適かもしれない1枚。

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