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Lurking Fear / MEKONG DELTA
火薬バカ一代 ★★★ (2018-07-12 22:24:34)
鬼才ラルフ・ヒューベルト率いるMEKONG DELTA、'08年発表の復活第2弾アルバム。
実験精神が先走っていた90年代後期の作品に比べると、'05年の復活以降に発表された作品はどれも独産スラッシャーならではの切れ味と攻撃性、テクニカルな演奏の応酬がもたらす張り詰めたテンションという、従来のMEKONG DELTA節が大幅回復。特に本作はジャーマン・メタル・シーン屈指の凄腕ドラマー、ウリ・カッシュが参戦しているということもあり、事前の期待値の高さにゃ並々ならぬものがありましたが、変拍子を交えた神経症気味曲展開と有無を言わせぬ突進力で、その期待に見事に応えてくれているのは流石。
欲を言いえば、個性的且つ押し出しの強い楽器陣に完全に存在感を抹消されてしまっているVo(ANGEL DUSTやSCANNERに在籍していた人物らしい)は、多少ヘタクソでももっとキャラの立った声質の持ち主か、もしくはこの面子に対抗し得るだけのメチャウマな実力者を引っ張って来て欲しかったかなと。全体的にVo入りの曲よりも、RPGラスボス戦劇伴のスラッシュ・バージョンみたいな④や、映画『プレデター』と『スターウォーズ』を足してスラッシュで割ったような⑧といったインスト曲の方が印象は強め。
それでも、例えば「よ、MEKONG DELTAの真骨頂!」と思わず声を掛けたくなる⑩のような、スパニッシュ・タッチの旋律を奏でるG、怒涛の突貫精神を発揮するリズム・セクションといった強めの圧を掛けてくる楽器陣に対し、Voが一歩も引かずに踏ん張る名曲を聴くと、ラルフの人選眼が決してくもってはいなかったも理解できるのですが。
80年代のMEKONG DELTAの諸作を愛聴する方なら、押さえておいて損のない力作。

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