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Footprints in the Rock / TRESPASS
火薬バカ一代 ★★★ (2018-07-04 00:21:04)
サットクリフ兄弟を中心に結成され、'99年にはNWOBHM勃発から20周年を祝う記念ライブに出演するため初来日も果たしているTRESPASS、'18年発表の復活第2弾アルバム。(タイトルが良いですよね)
‘93年リリースの最初の再結成アルバムでは、流行に飲み込まれたダーク&へヴィな作風を披露してファンに盛大に溜息を吐かせたTRESPASSでしたが、今作では往年の「らしさ」を大幅回復。どれぐらい回復したかと言えば、そもそも彼らの作品はシングルや初期デモ音源を取りまとめた編集盤『THE WORKS』(’92年)しか聴いたことがない自分のような手合いですら、「実にTRESPASSらしい作品!」と膝を打ってしまったぐらいに。
特に頭3曲は強力で、湿気ったリフ、印象的なハーモニーを奏でるツインG、くぐもった声質で煮え切らない歌メロを拾っていくマーク・サットクリフのヘタウマVo…と、何から何まで80年代初頭からまんじりと変化していない(褒め言葉)、往年のTRESPASSサウンドそのまんまな出来栄え。2本のGのハモリっぷりが1st時のPRAYING MANTISを彷彿とさせる②や、愁いを帯びたメロディが疾走する③なんて、いやこれマジで書き下ろしの新曲?デビュー当時の未発表曲とかでなく?と思わず呟かずにはいられませんでしたよ。
アルバム後半で若干の息切れを感じなくもないとはいえ、それでもツインGが緊迫感を伴って切り込んでくる⑤、重厚にしてドラマティックなアルバム表題曲⑥等、TRESPASSにしか生み出しえない楽曲が次々に繰り出される中盤戦までだけでも本作に対する高評価は揺るぎありません。
開き直ったベテラン・バンドの底力に惜しみない拍手喝采を送りたくなる1枚です。
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