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Shock Tactics / SAMSON
火薬バカ一代 ★★★ (2018-05-15 23:29:20)
現IRON MAIDENのブルース・ディッキンソンや、覆面レスラー…もといドラマーのサンダースティックらを擁したNWOBHMの雄、ポール・サムソン率いるSAMSON、'81年発表の3rdアルバム。(邦題は『魔界戦士』)
彼らのカタログの中では、ポリスに通報待ったなしの変質者感バリバリな勇姿でサンダースティックがジャケットを飾り、そこに邦題『魔人襲来』がコクのある味わいを加えてくれていた2ndがお気に入りなのですが、勿論SAMSONの代表作として名高い本作も、質の高さで引けを取るものじゃありません。
IRON MAIDENばりにケレンの効いた音を期待すると拍子抜けしてしまう、HMというよりはHRと呼びたくなる70年代の残り香を漂わせたシンプルな作風は前2作を踏まえつつ、今回はこれまで以上にリフ志向が強まりリズムも疾走感を増す等、タイトに洗練された楽曲は、プロダクションの向上でシケシケ感が薄まったことにも後押しされて、よりメタリックな味わいを漂わすようになりました。既に実力派シンガーの風格十分なブルースの熱唱と、派手さはなくとも、リフにソロに滋味溢れる演奏を連発するポールのGを両輪に突き進む(サンダースティックのDsは今回は大人しめ)SAMSONサウンドの醍醐味は、バンドの代表曲であるラス・バラードのペンによる疾走ナンバー①(邦題は“地獄の天使”)と、ラストを締め括るドラマティックな⑨(邦題“霊界交信”)といった名曲に顕著に表されています。
残念ながら、これ以降櫛の歯が抜けるように主要メンバーが抜けていき、人気にも陰りが出始めるSAMSONですが、本作が放つ輝きは今も全くくすんではいませんよ。

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