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Blood and Bullets / WIDOWMAKER
火薬バカ一代 ★★★ (2018-03-20 00:10:10)
「LAメタル・シーンのご意見番」ことディー・スナイダー(Vo)。TWISTED SISTER解散後はバーニー・トーメやクライヴ・バーらとDESPERADOを結成し、デビューを画策するも頓挫してしまった彼が、今度はASIAやMEGADETH、SAVATAGE等での活動で知られるアル・ピトレリ(G)を相棒に迎えて結成したのがこのWIDOWMAKERです。本作は’92年に発表された彼らの1stアルバムに当たる作品。
バンドが実践している音楽性は、TWISTED SISTERをソリッドにビルドアップしたような硬派なパワー・メタル/ロックンロール。クレジットを見ると半数の楽曲がディー/バーニーの共作名義になっているので、お蔵入りの憂き目にあったDESPERADOのデビュー作の楽曲が流用されているのかな?と。アクセルを床まで踏み込んで爆走するパワー・チューンから、いかにもアメリカンなグルーヴが豪快にうねる70年代風HR、キャッチーに弾むポップ・ナンバー、更にはブルージーな哀愁全開で迫り来るバラッドまで、本編には様々なタイプの楽曲が取り揃えられ、それらをパワフルに歌いこなし、且つ強烈な個性で一本の芯を通すディーのVoも絶好調。ド派手なメイクとオサラバしようとも、汗とツバキと男の色気が飛び散る唯一無二の歌声は健在で、怒涛の如く突進する①、秀逸なポップ・センスが垣間見える④、土煙蹴立ててブッ飛ばす⑦、ディーの熱唱に胸打たれずにはいられないブルージーな⑨といった秀逸な楽曲を、更に一段も二段も高い位置へ蹴り上げてくれています。
90年代の作品ゆえ感じた不安も、聴き終えた後には完膚なきまでに雲散霧消する快盤。ただバンド自体は次作で流行に寄って大コケしてしまうのですが…。

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