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Heart of a Killer / WINTERS BANE
火薬バカ一代 ★★★ (2018-02-18 22:05:26)
オハイオ州出身で、「冬将軍」を意味するバンド名を名乗る5人組が、'93年にドイツのMASSACRE RECORDSから発表したデビュー作。
まさに《POWER/SPEED/THRASH FROM OHIO, USA》の謳い文句を地で行くサウンドを全編に亘って炸裂させつつ、スピード以上に展開を重視し、パワフルに歌いまくるハイトーンVoとテクニカルなGの存在を軸に、リフ/リズム・チェンジを繰り返しながらクライマックスへ向けて畳み掛けていく曲作りのスタイルはプログレ・メタル的でもあるという。当時はストレートに「QUEENSRYCHEフォロワー」と思ったものですが、改めて聴き直すと、殺人鬼の心臓を移植され破滅していく判事の恐怖を描いたホラー風味のコンセプトとか、高低差の激しいメロディ・ラインを自在に歌いこなすVoの存在とか、なるほど確かにKING DIAMONDっぽいかもと。彼らをもっとHM寄りにしたような感じ?
それにしても、ロブ・ハルフォードも真っ青のスクリームを炸裂させるここのシンガーの歌唱力は実に見事。全く以てUSパワーメタル・シーンの層の厚さには驚かされるばかりですが、後に彼…ティム“リッパー”オーウェンズが本当にJUDAS PRIESTに加入してしまった時にゃ更に吃驚でしたよ。尤もJP時代に残した2枚のスタジオ・アルバムでは、作風的にその力量をフルに発揮できたとは言い難かったのは残念でありましたが。
押しと引きが劇的に決まったアルバム表題曲③を始め、優れた楽曲が並ぶ一方、通して聴くと少々キャッチーさの乏しさが気になったりもする本作ですが、リッパーのシンガーとしての実力を堪能したいのならば、JP時代の諸作よりも本作をどうぞ。

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