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Eat the Heat / ACCEPT
火薬バカ一代 ★★★ (2017-08-02 00:38:47)
その昔、ACCEPT最大の問題作と言えば’89年発表のこの8thアルバムが筆頭でした。曰く「売れ線に走るためにウドを追い出した」(実際はもっと込み入った事情有り)、「アメリカナイズされたサウンド」「やっぱACCEPTの声はウドじゃないと」etc…。尤も、ウド擁する編成で復活した再結成ACCEPTの90年代のやらかしっぷりや、マーク・トニーロがフロントマンを務める現行ACCEPTの大躍進を経た今となっては、本作における変化なんぞまるで牧歌的。普通に「良く出来たACCEPT作品」として楽しめますので、若いリスナーの皆様におかれましては安心してご購入下さいませ。
確かに地響きコーラスを控えめに、アメリカ市場を意識したようなライトに弾む楽曲もチラホラ見受けられますが、にしたって余裕でHR/HMの範疇で括れるレベル。流石に捨て曲なしとは行かずとも、「アグレッシブになったSURVIVOR」と評される⑥や、後に続くメロディックな⑦等は、新生ACCEPTの目指す方向性が魅力的に提示された名曲ではないかと。それらを歌うニュー・フロントマン、デヴィッド・リースのVoも、そりゃ前任者ほどのアクの強さはありません(そういう人を敢えて選んだのだから当然の話です)が、声質自体は結構カミソリ系で、バラエティを増した収録曲を柔軟に歌いこなすシンガーとしての実力は、流石ウルフ・ホフマン達のお眼鏡に適っただけのことはありますよ。
U.D.O.のライブでも演奏されていたパワフルなHMナンバー①、激情迸る劇的なバラード⑥、爆走ロックンロール⑫といった、従来から引き継ぐ「このバンドらしさ」全開の楽曲も要所を締め、嘗て、長らく聴かず嫌いをしていた己を猛省させられた力作であります。

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