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Kill to Survive / MELIAH RAGE
火薬バカ一代 ★★★ (2017-07-04 00:37:36)
ボストン出身の5人組が、’89年にEPIC RECORDSから発表した1stアルバム。スラッシャーにも関わらずいきなりメジャー・デビューを飾り、しかも10万枚以上のセールスを上げる成功を収めてしまう辺りが、メタル・バブル爛熟期らしい景気の良さだなぁと。
「危険過ぎて歌詞不掲載」「アルバム表題曲はヤバ過ぎてUS盤からカット」云々と、国内盤解説からもたらされる情報の数々に煽られまくり、「どんだけ過激な音を出してる連中なんだよ!」と事前の期待値はガン上がりでしたが、どっこい。実際にここで聴かれるのは、クリーンな音作りの下、Voが適度に歌い、ツインGは整然とハーモニーを奏でる、スラッシーな尖がりっぷりよりも整合性を重視したサウンド(メジャー・アーティストらしい音ではありますけども)。正直初めて聴いた当時は「物足りねぇ」と盤を放り投げた記憶あり。
しかし、初手からそういうバンドなのだとの認識を持って本作を聴き直すと、かっちりとまとめられたパワー・メタリックなサウンドが、これはこれで案外楽しめます。NWOBHMを思わす鋭角的なGリフを伴い突き進む①、ドラマティックな構築美を持ち込んだインスト③、ツインGを活かした曲展開でラストを盛り上げる⑧等はその好例ですし、勿論⑦のような直線的スラッシュ・ナンバーもカッコイイ。あと何より日本盤には、US盤からはカットされてしまっていた前述のアルバム表題曲⑥が収録されていることが大きい。このスピード・メタルの名曲があるのとないのとでは、本編の締まり具合が全然異なりますからね。
どちらかと言えば正統派HM/パワー・メタル愛好家にお薦めする作品なれど、スラッシャーなら取りあえず⑥を聴くためだけにでも押さえておいて頂きたい1枚です。

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