この曲を聴け!
In the Kingdom / WHITECROSS
火薬バカ一代 ★★ (2017-06-11 21:31:44)
名前が「WHITE」で「CROSS」なことからもお察しの通り、クリスチャン・メタル・バンドであるカリフォルニア出身の4人組が’91年に発表した4thアルバム。(日本盤はテイチクからリリースされました)
勿論、彼らが聴かせてくれるのはSTRYPER直系の正統派HM…と思いきや。既に時代は90年代ということもあり、そうしたありがちな固定イメージから脱するべく(?)、本作では豪快なロックンロールあり、哀愁のブルーズあり、抒情バラードあり、ネオクラシカルなインスト・ナンバーあり…と、よく言えばバラエティに富む、悪く言うと少々まとまりに欠ける作風を志向。「何でもあり」なのはいいのですが、ボートラを含めると全14曲収録という超過ボリュームが本編の散漫な印象に拍車を掛けている感は無きにしも非ず。
一方で、重厚な正統派HMナンバー③、土の匂い薫るアコギ・バラード④、テクニカルなGが縦横無尽に駆け巡る⑦から、泣きまくりのブルーズ・ソング⑧へと繋ぐ構成の妙、美しいハーモニーに聞き惚れる⑨…といった具合に、収録楽曲はどういったタイプの楽曲にせよ、キャッチーなメロディが適宜に盛り込まれ、どれも卒のない仕上がりっぷり。まとまりにこそ欠けるものの、聴き始めるとスルスル最後まで楽しめてしまう辺り、バンドの地力の高さを感じさせます。ラップVoを取り込む⑪なんて半端な連中が演ったなら噴飯モノなところを、印象的なコーラス・ワークを駆使して結構聴かせてくれるのだから大したものですよ。
一聴しただけで掴まれるようなインパクトはないのですが、繰り返し聴き込むことで味わいが増して来る、ベテラン・バンドの経験値の高さが反映された1枚という。
→同意