この曲を聴け! 

The Book / GRAHAM BONNET BAND
火薬バカ一代 ★★★ (2016-11-28 00:11:38)
グラハム・ボネットが久々に発表したソロ・アルバム。「HR/HMを歌うためにあるような青筋声の持ち主だけど、HR/HMはあんまし好きじゃない」というご本人の資質ゆえか、彼主体で作品を作ると、どうにも中途半端な内容に終わることが多々ありまして。そのため最近はすっかり「昔の曲だけ歌って暮らす」楽隠居モードに入りつつあったのですが、ところがどっこい。今回はOPナンバー①の雄々しいサビメロからして早くもやっさん節全開。経年劣化とはまるで無縁のパワフルな歌いっぷりで「おお!」とこちらの身を乗り出させると、ライブじゃ「オオーオオー♪」と大合唱が巻き起こること請け合いのキャッチーな②以降も、まるで開き直ったかのように王道HRチューン三昧。先行シングル『MY KINGDOM』で高まっていたこっちの期待を裏切らないどころか軽く凌駕する勢いに、思わず「それで良いんだよぉ、グラハム君!」と、西川きよし顔でガッツポーズを決めたくなりましたよ。
何より、これらの楽曲(メロディ)を全てグラハム自身が書いているという点が素晴らしいじゃないですか。これまでリッチーやイングヴェイに散々「曲のアイデアがない」「メロディが書けない」とかダメ出しされて来ましたけど、ALCATRAZZのアルバムに入っていてもおかしくない①、哀愁のイントロから疾走へ転じる⑤、愁いを帯びたコーラスを朗々歌い上げる青筋Voが冴える⑥⑧といった会心の名曲を聴けば、「ワシが本気出せば軽くこんなもんやっちゅうねん!正味な話」と、サングラスを指でクイクイさせるグラハムのドヤ顔が浮かんでくるかのよう。じゃあもっと早く本気出して欲しかった…って、まぁそれはそれ。
往年の名曲の再録ベスト盤との2枚組仕様と知った当初は、そっちばかり聴く羽目になりゃしないかと危惧しましたが、全くの杞憂でありました。グラハム完全復活!な1枚。

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