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When the Mirror Cracks / Q5
失恋船長 ★★★ (2016-09-09 14:34:21)
トレモロ・アームユニットの考案者フロイド・ローズ率いるバンドが1986年にリリースした2nd。1stで聴けた活きのいいメロディックな攻撃的音楽性が大幅に減退、メジャー志向の甘口な歌モノ路線へと変貌を遂げるのですが、正直初見の驚きたるや、①の頭からシンセギター&シンセの音に驚愕、そのままフォリナー風と言えばいいのかエイジア風と言えばいいのか、メロディックでソフトなスタイルへと舵を切っており、①を最後まで聴く事無く一旦トレイから取り出しラックの底に一直線と若気の至りを恥じるのですが、大人になってから聴くとこれが実に味のある音楽性を追求しており、フロイド・ローズのギターは前作のような攻めの姿勢は魅せていませんが、ゲイリー・ムーアのバラード集を聴いているような音で勝負できるギターを弾いており、聴きようによっては実に美味しい作風へと昇華しております。とは言えメタルバンドとしての魅力は半減、唯一のスピードナンバーもタイトルトラックの⑤くらいなもんで逆に浮きまくっており収録しないほうがよかったんじゃないかと言いたくなる始末、⑩なんかもBONJOVI風の曲もあったりしますが、実はその問題ありと感じた①なんてフックに富んだ哀愁のメロディがギラリと光りを放つ素晴らしい仕上がりの曲であり、②以降もポップな曲も用意しつつジックリと耳を傾けたくなる良質な大人のハードサウンドを思いっきり奏でており、良く計算された作風に圧倒されます。僕も尖っていた10代、20代前半にこんな軟弱なもんをメタルなどと呼ぶ事は断じて許さん、血気盛んに息巻いておりましたが、おっさんになると許容範囲も広がり、むしろ大いに楽しめるから不思議なモノです。売れる事へのプレッシャー、目まぐるしく変わるシーンの流れ、時代は1986年、多くのバンドが成功と引き換えに大切なモノを差し出していた時代です、そう考えると路線変更と解散に至った経緯に疑問の余地はありませんね。メタル度は減ったが良質な楽曲を生みだしたセンスと才能は認めたいですね。
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