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Slave to the Thrill / HURRICANE
火薬バカ一代 ★★ (2016-08-28 22:56:32)
初めて目にした時は「ギーガー謹製か?」と思ってしまった強烈なアートワーク(機械に犯されそうになっている全裸の女性)が物議を醸した'90年発表の2ndアルバム。シーンの潮目の変化を察知し、よりアグレッシブな方向へ進むために、ポップ志向の持ち主だったロバート・サーゾと袂を分かち――実際はマネージメント主導の解雇劇だったとのキャプテン和田情報あり――その後任ギタリストに、元LIONのダグ・アルドリッチを加えたラインナップでレコーディングされています。
いかにもアメリカンなノリの良さで攻めて来る豪快なロックンロールと、ドラマティック且つメロディアスなプログレ・ハードというの二路線構成が取られた好盤に仕上がっていた前作『OVER THE EDGE』(’88年)に比べると、吹けよ風、呼べよ嵐状態(まさしくハリケーン)なSEから幕が上がる今回は、明らかに前者に比重が偏っていて「あいやー、そっちへ進んじゃいましたか」と。
無論、ダグ・アルドリッチのフラッシーなGプレイ、ケリー・ハンセンのエモーショナルな歌唱(流石、現FOREINER)をフィーチュアした楽曲の質は低くありません。しかしながら、“失われた愛の夢”なる邦題を冠されたバラード⑤、哀愁のHRナンバー⑥、ブルージーな味わいを有する⑦といった、本編中盤に並ぶメロディアスな楽曲が魅力的なだけに、HURRICANEには是非ともこっち方面へ進んで欲しかったなぁ…と、今更詮無いことを考えてしまうわけです。

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