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Metalmorfosis / BARON ROJO
火薬バカ一代 ★★★ (2016-02-21 00:20:28)
第一次世界大戦で活躍したドイツ空軍のエース・パイロット、マンフレート・フォン・リヒトフォーフェンの異名「レッド・バロン」をバンド名に頂くスペインのBARON ROJO。彼らの代表作と言えば、スペイン国内はもとより欧州圏、更には遠く日本にまでその名を轟かせた2nd『炎の貴族』('82年)が決定盤でしょうが、'83年発表のこの3rdアルバムだって内容の良さでは引けを取りません。
歌詞は勿論全曲スペイン語。しかしプロデューサーにナイジェル・グリーンを迎え、ロンドンのBATTERY STUDIOで(DEF LEPPARDの『PYROMANIA』的布陣で)レコーディングされているだけあって、音作り、メンバーの熱の篭ったパフォーマンス、それに収録楽曲まで、田舎臭さは殆ど漂ってきません。NWOBHMの洗礼を受けたエッジの鋭さ/軽快なノリの良さ/濃い口の哀愁を併せ持ったサウンドは、同時期の欧米のHMバンドと比較しても何ら遜色ないクオリティですよ。
本編は立ち上がりで少々もたつく印象もありますが、疾走ナンバー③辺りからエンジンが温まり始め、あとは勇壮に鳴らされる④、ウリ・ロート時代のSCORPIONSばりの美しさと泣きが劇的に炸裂する名曲⑤、“HIROSHIMA”なるタイトルを冠された重厚な⑥、哀愁湛えた疾走パートが熱い⑦…と、エネルギッシュな中盤戦で大きく盛り返してくれますので無問題。
『炎の貴族』と併せて、BARON ROJO入門編にお勧めする1枚。メンバー的には内容には大満足ながら、国外活動に消極的だったレコード会社の理解が得られず、英語Verの制作が叶わなかったことに悔いが残っている様子ですが。

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