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Bystander Effect / SABER TIGER
火薬バカ一代 ★★★ (2016-01-21 21:42:13)
木下昭仁(G)の体調不良に、長らくSABER TIGERの土台を支えてきた木本高伸(B)の脱退といった紆余曲折を経て、'15年に発表された最新アルバム。
しかし、脳梗塞の後遺症なぞまるで感じさせない木下と、ソングライターとしても重要な役割を担う田中康治(G)コンビの火を噴くような高速ツイン・リードGが猛然と牙を剥く①を開巻の合図に、野獣の如き攻撃性、マシーンを思わす複雑精緻な構築力、そして人間的激情の迸りが一体となって渦を巻き、終始高いテンションを保つ本作に、そうしたトラブルの悪影響の影は一切見当たらず。前作でやや気になったドラムの音の軽さもきっちりとアジャストして、迷いも躊躇もなくSABER TIGER流パワー・メタル・サウンドを押し進めています。
あと、今回特筆すべきは久々に日本語詞による楽曲が採用されている点。昔から下山武徳(Vo)は日本語詞を歌ってこそ本領を発揮できると信じて疑わない身には願ったり適ったりで(別に英詞曲にも不満はありませんけどね)、特に慟哭のバラード⑨は圧巻。木下の紡ぐ哀しみに彩られたメロディに、言葉の隅々までエモーションを行き渡らせた下山の絶唱が五臓六腑に沁み渡りますよ。
難題の数々に見舞われたにも関わらず、前作から2年のインターバルで新作発表まで漕ぎ着けた精神力と創作意欲に、改めて敬服させられる1枚。

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