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II / KINGSTON WALL
火薬バカ一代 ★★★ (2016-01-14 23:51:50)
生前、たまたま本作の「出て来いシャザーン!」「パパラパー!」みたいなジャケットを目にした田舎の婆ちゃんが「アラビヤン・ナイトの世界のようだ」との感想を述べた(“ヤ”の発音がいかにも明治生まれ)、フィンランドのプログレッシブ・ロック・トリオが'93年に発表した2ndアルバム。
同時期に目覚しい躍進を遂げたDREAM THEATERが、プログレとHMの融合を図りモダンさを打ち出していたのに対し、こっちは超絶テクニックや精緻な構築感よりも、Voの素朴な歌唱や、空間を活かした感覚重視の楽曲設計、あと曲によってはヴァイオリン、鳴り物もフィーチュアする等、往年のプログレッシブ・ロック・サウンドをより忠実に継承しているとの印象です。
但し、アートワークの世界観を反映させ大量導入されたエスニックなメロディ並びにリズム・ワークが、本作の個性を際立たせると共に、楽曲の輪郭を明瞭に保ち、サイケ色や大作主義を打ち出した本編に散漫さ/冗長感が発生することを防止。また、カラッと抜けの良い曲調と弦楽器の調べがKANSASを思わす②を演ったかと思えば、⑧ではムーディに泣いてみせたり、スパニッシュ・タッチの⑨があったり・・・と、確か演奏技術と表現力を有するメンバーのバックアップも実に的確です。(ディスコの女王の名曲⑦も、見事自分達色に染め上げてカヴァーしてます)
ゼロ・コーポレーションからリリースされたプログレ系の作品の中でも、トップクラスの品質を誇る1枚ではなかったでしょうか。

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