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Victory / TRANCE
火薬バカ一代 ★★★ (2015-11-15 09:47:30)
70年代HRからの影響も引き摺っていた1st、ヘヴィ・メタリックにストレッチされた2ndと来て、'85年発表の本3rdアルバムは丁度その中間を行くような仕上がり。ソリッドなリフ&リズムよりも歌メロやコーラスを重視し、一層メロディアスに、キャッチーに磨かれた収録曲の数々を聴くと、当時隆盛を誇ったLAメタルの余波が彼らにも及んでいたことが伺えます。特に、時にメジャー・キーも交えてポップさを増したアナログA面に並ぶ楽曲はその傾向強いかな?と。
それでも、2本のGが歌い上げる強烈に耳に焼き付く泣きのメロディや、そしてローター・アントーニ(Vo)の耳にピリピリくる塩っ辛い歌唱といった、「TRANCEらしさ」も圧倒的プレゼンスを主張。重厚な⑤からスタートするB面サイドには前作のノリを受け継ぐハードな楽曲が並んでいます。中でも、Voのアカペラ・イントロを経て威勢良く疾走を開始する⑥、アンセミックなコーラスを擁し、ライブ会場が一体となって盛り上がる様が目に浮かぶようなアルバム表題曲兼本編のハイライト⑧は、従来の魅力と、今作ならではの新味のブレンド加減が絶妙な名曲。
メロディのフックから楽曲の取っ付き易さに至るまで、少なくないマニアが本作をTRANCEの最高傑作に挙げるのも納得の1枚。「かつて、採点基準が画期的なまでに極端なことで知られたBURRN!!誌の酒井前編集長が本作に89点を献上した」との情報に興味をそそられた方にもお薦め致します。

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