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Ten / Y & T
火薬バカ一代 ★★★ (2015-08-17 01:02:22)
YESTERDAY & TODAY時代も含めると丁度10枚目の作品ということで、シンプルに『TEN』と名付けられた'90年発表の(Y&T名義では)7thアルバム。
バンドに対する注目度が下降線を辿りつつあった時期にあって、「俺達のY&Tが帰って来た」と比較的好意を持って迎えられた作品だけに、ポップ・メタル化著しかったここ数作に比べると、楽曲にはハードさが、デイヴ・メニケッティの歌とGプレイには「粘り」が戻って来ていることが確認できます。
と言ってもまんま初期の作風に立ち返ったわけじゃなく、マイク・ストーンが手掛けた音作りから、洗練を感じさせるアレンジ・センス、楽曲をキャッチー&コンパクトにまとめ上げるソング・ライティング術まで、ポップ・メタル路線の残り香もチラホラ。寧ろそうしたこれまでの試行錯誤が踏まえられているからこそ、本作は単なる過去の焼き直しではなく、折衷的魅力を湛えた好盤に仕上がったのではないかと。
本編前半には少々地味な印象も付き纏いますが、中盤以降の目を瞠る充実度でそれをリカバリー。取り分け、タメを効かせて盛り上がっていく⑥、息苦しい程にエモーション迸る⑩、ハード・ロッキンな熱さと泣きメロがドライヴする⑫は、デイヴ入魂の歌とギターが冴え渡る「これぞY&T!」な名曲っぷり。
彼らは本作発表後間もなく解散の道を選択してしまいますが、確かにこれ程の力作をモノにしたにも関わらずレコード会社から何の援護も受けられなければ、バンドの将来に対し悲観的になってしまったのもむべなるかな。(今は再結成してバンドもファンも皆ハッピー)

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