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Metal From Hell / SATAN'S HOST
火薬バカ一代 ★★★ (2015-02-25 23:05:40)
コロラド州ボウルダー出身のサタニック・メタル・バンド、'86年発表のデビュー作。
初聴時は、オーディエンス録音の海賊盤と聴き紛う低劣な音質と、全メンバーが「他パートのことなんざ知らねぇよ」とばかりに、好き勝手荒れ狂うOPナンバーのアバンギャルドっぷりに「何じゃこりゃ?」とドン引きしてしまいましたよ。
しかしこうして改めて対峙すると、それ以上に耳奪われるのは、禍々しさと荘厳なドラマ性を併せ持ち、最もエピカルだった2nd~3rd期のMANOWARに、イタリアン・オカルト/ホラー映画のサントラを強引にトッピングしてしまったかの如き楽曲の劇的さ。特に、高圧的歌唱で大仰な雰囲気を盛り上げるハリー・コンクリン(Vo)が良い仕事しまくりで、流石JAG PANZERにTITAN FORCEにこのバンドと、カルト・メタル街道一筋に歩んで来られた御仁だけのことはあると。
そもそも、エリック・アダムスばりのパワーVo、厄いリフを騒々しくハジくG、独特過ぎるタイム感で派手に暴れ回るリズム隊は、崩壊寸前のようでいて実は均衡を保ってるようにも聴こえ、このギリギリ綱渡り感が異様な迫力を放つ②⑤は、唯一無二の個性が黒光りする邪教メタルの名曲。スピーディに炸裂する③や、SATAN'S HOST流“審判の日”といった趣きの⑧のカッコ良さも只事じゃありませんて。
はっきりと聴き手を選ぶ作品なれど(本当に音が悪い)、まさしく「カルト」な魅力が詰まった1枚です。

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