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Power Infusion / TRANCE
火薬バカ一代 ★★★ (2014-12-18 22:23:17)
かつて新宿ツバキハウスにリクエストが殺到したとかしなかったとか(どっちよ)、未だ語り継がれる名曲“HEAVY METAL QUEEN”をトップに戴く'83年発表の2ndアルバム。
日本人の琴線に訴えかける哀愁のメロディ・センスはそのままに、今回は70年代HR的横ノリ感や、演歌にも匹敵する「泣き」は減少。その代わりエッジの効いたGリフを前面に押し出し、より時代に即して、キビキビとへヴィ・メタリックなサウンドにストレッチされています。
そうした印象に拍車をかけるのが、益々クドさ全開のローター・アントーニのVo。前作での歌唱はクラウス・マイネをオーバーブーストさせたような感じでしたが、ここではウド・ダークシュナイダーやマーク・ストレイスを引き合いに出して語りたくなる、パワフルなカミソリっぷりを披露。バンドの看板声として歌舞伎町のネオンの如き輝きをギラギラと放ちます。本作のマイナー臭の発生源が彼の歌唱にあることは間違いないのですが、繰り返し聴くうちに病みつきになってしまう、この声の中毒性は強烈ですよ。
メタル者なら一聴の価値があるキャッチーなGリフにハートを鷲掴まれる名曲①に、勇ましい②、泣きのバラード③へと至る冒頭3連発の隙のない布陣、そして緩急を効かせた⑦から、野生動物の嘶きの如きGリフが疾走する⑨まで、本編に捨て曲はなし。
次作『VICTORY』と併せてTRANCEの代表作に挙げられるのも当然の1枚ですね。

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