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The Year the Sun Died / SANCTUARY
火薬バカ一代 ★★ (2014-11-09 12:06:12)
ブックレットに目を通すと、終末に関するコンセプト・アルバム的な雰囲気も感じられる、'14年発表の3rdアルバム。
SANCTUARY待望の復活作と言えども、今更彼らがデビュー作『新たなる聖地へ』('88年)みたいな作風へ回帰するとは思ってませんでしたし、事実、本作に託されているのは、NEVERMOREでの活動を踏まえたダークでムーディでテクニカルなHMサウンド。ウォレル・ディーン(Vo)もコップの割れそうなハイトーンは控えめに、ディープな低音をメインに妖しく歌い上げています。これ聴いてから2nd『INTO THE MIRROR BLACK』('90年)を聴き直すと、当時は地味に感じられたあの作品でさえも、スラッシーなエレメントはそれなりに残っていたんだなぁ、と。
さりとて、では本作が駄作なのかと言うと、それは大間違い。キレのある演奏から繰り出される、高い求心力を有するクランチーなGリフとタイトに編まれたリズムの上で、歌メロの充実っぷりにかけては過去2作を大きく上回るウォレルのVoと流麗なリードGが劇的に舞う楽曲は、初期作のような前へ前へと迫り出してくるような派手さはない代わりに、聴き返す度に新たな発見をすることが出来る奥行きを感じさせ(思慮深い歌詞も貢献)、これはこれですこぶるカッコイイ。特に、本編中最もアグレッシブな仕上がりの⑥、憂いに満ちたメロディとドラマティックな曲展開が胸を打つラスト・ナンバー⑪という、THRASH DOMINATIONで先行披露された2曲は名曲ですよ。
1stを偏愛する我が身にもちゃんと魅力が伝わる、聴けば聴くほどに味わいを増すスルメ系の力作。
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