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Curse and Chapter / HELL
まにや ★★ (2013-11-23 18:18:02)
ファーストで聴かれたアルバム全体を覆っていた人口着色料的な毒々しさや胡散臭さは若干後退したものの、仰々しいまでの演劇性は継承されていて、今回も堂々たる英国メタルの王道を邁進してくれた。

前作同様にめまぐるしく、しかし不自然すぎない変調や転調が盛り込まれた楽曲はプログレにも通じるし各パートの輪郭を強調するアンディ・スニープらしい手法も健在。

ファーストが余りに衝撃的だったので、次は苦労する(もしくは出ないのでは?)と思っていたが、意外にも短いスパンで二枚目が出たのは嬉しい限り。しかし、聴き進むに連れてファーストからの使い回し?もしくは残滓?と感じる部分が少々鼻につきだしたのも事実。凄すぎるアルバムを出しちゃうとその次が大変なのは過去の歴史でもくりかえされてるからね。それとファーストよりも曲の構成上でキーボードの比重が増してきているのは少し気がかり。このバンドにキーボードの使用は最低限で良いと思うから。

中盤に配された疾走ナンバーの8曲目がアルバムの核であり臍といったところか。少々、苦言めいた事も書いてしまったものの本作も期待に違わぬ力作であることには変わらない。

古くはボンゾ・ドッグ・バンド、アレックス・ハーヴェイ・バンド、ジェスロ・タルなどが大真面目に不真面目を演じ、近年ではクレイドル・オブ・フィルスにまで脈々と流れるジェネシス起源のシアトリカルな楽曲とステージの両面を継承するこのバンドからは、即ち英国人で在る事の誇りを強く感じてしまう。

ボーナスディスクのDVDのステージが実に楽しい。来日したら老体に鞭打って見に行くだろうな。
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