この曲を聴け! 

No Prayer for the Dying / IRON MAIDEN
はっちゃん ★★★ (2012-08-18 14:29:43)
失敗作でもなければ駄作でもありません。

リリース当初から賛否両論あったので、ここでの評価も頷けるものがありますが、個人的には
MAIDENらしい佳作だと思います。擁護する訳ではありませんが、前作、前々作が構築美にあふれる
作り込まれたアルバムだったのに対し、本作はシンプルな勢いを活かしライヴ感をプッシュした
ということで、ファンは裏切られたと思ったのでしょう。

しかし、聴きようによっては初期の荒々しさに通じるものがあると思います。もちろん往時の
殺気立ったエネルギーはありませんが、プリミティヴなパワーは感じられます。
このような作風も彼らのパーソナリティのひとつと考えると、懐の深いバンドだなぁって思います。

ヤニックのプレイに関しては、ちょっとデイヴのプレイに酷似していて、この時点ではあまり
彼の個性が見えませんでしたが、ヤニックの真骨頂はライヴで発揮されると気づいたのは、まだ
先のお話。

MAIDENの作品を聴いていて思うのは、プロデューサーであるマーティン・バーチによる
なんとも歯がゆいサウンド・プロダクション。このアルバムでもせっかく勢いのある楽曲群なのに
ギターを奥に引っ込めた音像は作品の良さをスポイルするものでしかないし、どうもこの人
バランス感覚が優れているとはとても思えません。
まぁ、このミックスにGOサインを出してしまうスティーヴもスティーヴなんだけど。

と、ファンにとってはネガティヴな要素もありますが、決して否定するような作品ではないし
「PUBLIC ENEMA NUMBER ONE」や「HOOKS IN YOU」のような超ストレートなナンバーを
楽しめるのは後にも先にもこの1枚だけですからね。

→同意