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Phantom Antichrist / KREATOR
火薬バカ一代 ★★★ (2012-06-11 23:22:43)
『VIOLENT REVOLUTION』以降は、ストレートなスラッシュ・アルバムを連発してきたKREATORですが、この13thアルバムでは攻撃性や疾走感を若干抑え気味にして、その代わりにサミ・ユリ・シルニヨの煽情的なGプレイと、全編で狂い咲くミレ・ペトロツァ&サミの劇的なツインGハーモニーの存在を強調した、幾分メロディアスで聴き易い作風に仕上がっているのは、他の方々が指摘されている通り。
カッチリとまとめられた楽曲はパワー・メタリックな感触を孕んでおり、勇壮にしてエピカルな雰囲気漂う④、起承転結が決まったドラマティックな⑥⑩辺りを聴いていると、個人的には5th『COMA OF SOUL』のことを思い出したりも。
尤も、決してメロディアスに歌っているわけじゃないのにエモーションをかきたてられる歌心に溢れたミレのVoや、ヨーロッパ的ダークネスを湛えたメロディのクオリティは、あの頃とは比べ物にならないぐらいの向上を遂げているんですけどね。
一方で、切っ先鋭いシャウト、殺傷力を宿すリフと尖がったリズムのコンビネーションから生み出される、このバンド独特の切り裂くような疾走感が失われてしまうなんてことはある筈もなく、劇的な序曲に導かれてスタートする激烈なアルバム表題曲②なんて、ライブで披露された日にゃ会場が上下に揺れ、サビ部分では大合唱が起こることを容易に想像できる必殺の名曲っぷり。緩急の効いた③⑤、正統派HMテイストも感じられる⑨の秀逸さも必聴です。
らしさを失わず、丸くもならず、それでいて一見さんにも取っ付き易いキャッチーさを兼ね備えた曲作りの上手さは、既にSLAYERと同じレベルで語られるべき境地にあることを改めて納得した1枚。傑作。

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