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Taking the World by Storm / DEMON
火薬バカ一代 ★★★ (2012-03-28 22:42:11)
嘗ての相棒マル・スプーナーは他界、オリジナル・メンバーのレス・ハントも既にバンドを去り、唯1人残されたデイヴ・ヒル(Vo)がDEMONの看板を背負って'89年に発表し、久々に国内盤リリースも実現した7thアルバム。
一時期はプログレ方面への思索を深め、別世界へと旅立ってしまった感もあったDEMONでしたが、その後は徐々に本分を取り戻し、本作では遂に多くのファンが「彼らのベスト作品と言えばコレ」とその名を挙げるレベルの傑作をモノにするに至った。
独特のノリの良さと、印象的なメロディを奏でるツイン・リードGを伴って疾走する楽曲が並ぶアルバム序盤は、往年のDEMONサウンドを更にヘヴィ・メタリックに仕上げたかのような感触ですが、4曲目以降は7分~11分台の長尺曲が連続する大作主義が打ち出されており、中でも、デイヴ・ヒルの新たな曲作りのパートナーでもあるKey奏者,スティーヴ・ワッツのセンス溢れる仕事っぷりがギラリと光る“REMEMBRANCE DAY”は、スコットランドの雄大な大地を想起させる哀感を帯びたメロディと、大英帝国の威厳に満ちた重厚且つドラマティックな曲調に男泣き必至の超名曲。良い具合に枯れたデイヴの親父声がまた、絶妙に曲の放つ哀愁を増幅してくれていますねぇ。
ベルリンの壁崩壊の喜びを高らかに歌い上げる“BLUE SKIES IN RED SQUARE”、ラストに鎮座まします11分越えのヘヴィ・バラード“TIME HAS COME”といった、見事な構築力を発揮して長尺をダレずに聴かせ切る大作曲の数々を聴くと、プログレ方面に傾倒していた時期(いわゆる迷走期)の作品群さえもきっちりと己の糧として消化していることが伺えます。

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