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The Plague / DEMON
火薬バカ一代 ★★★ (2012-03-26 23:13:27)
NWOBHM然としたツインG主導のHR/HMスタイルから、Keyの存在がカギをプログレ・ハード路線へと、DEMONサウンドがドラスティックな変貌を遂げた'83年発表の3rdアルバム。
邦題こそ『悪魔主義』と恐ろしげですが、時にポップに響く叙情メロディ、Key主体の凝ったアレンジ、トレヴァー・ホーン人脈に連なるエンジニア勢が手掛けた風格漂う音作り、そしてこれまでより一回りも二回りもスケールアップした曲展開を伴うアルバム表題曲①に代表されるように、本作はASIAやMAGNUMといったバンドの名前を思い出すプログレ・ハードの領域へとかなり大胆に踏み込んでいる。
従来のマイナー調のハードネスやロックンロール・テイストが一掃された分、ドラマティックな大作主義が前面に押し出された作風は賛否両論分かれる内容ではあるものの、(上品なジョン・ウェットンやボブ・カトレイの歌唱の真逆を行く)デイヴ・ヒルのソウルフルなオヤジ声は相変わらずの存在感を誇示し、また泣きの入ったフレーズを紡ぐレス・ハントの情感豊かなGプレイも健在だしで、よくよく聴けばDEMONサウンドの「核」たる部分には実は大きな変化はない。
インスト・パートと歌入りパートの2段構えが取られた7分以上に及ぶ哀愁の大作ナンバー③、2部構成で組み立てられた④⑤の流れ、シアトリカルな雰囲気も漂うバラード⑦辺りは、従来の「DEMONらしさ」と新たに導入されたプログレ・テイストとが巧みに溶け合わされた名曲と言えましょう。
NWOBHMマニアはもとより、プログレ愛好家の方にも是非お試し頂きたい1枚。

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