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Captured Alive in Tokyo City / PRAYING MANTIS
火薬バカ一代 ★★★ (2012-02-13 23:33:41)
「2枚組&ベスト選曲で贈るPRAYING MANTIS初のライブ・アルバム!」と聞いて「おおっ」と身を乗り出した人達が、「但しシンガーはゲイリー・バーデン」と付け加えられた途端、ざざーっと引き潮の如く醒めていく様が目に浮かぶような実況録音盤。
そのゲイリーは本作に於いても、OPナンバーの時点で早くも歌声がヨレヨレというミラクルなパフォーマンスを披露。にも拘らず、不思議と腹立ちよりも「流石ゲイリー」「それでこそゲイリー」的な安心感や微笑ましさが先立ってしまうという、愛すべきキャラクター性をアピールしており、ある意味、何者にも変え難い人材ですよ、この人は。
幕開けから既にアップアップの様相を呈している彼の歌唱ですが、その後は大崩れすることなく持ち堪えますし(=ずっとヨレヨレ)、またそのガラッパチなオヤジ声が、ライブでも霞む事のない美しさを誇るPRAYING MANTIS必殺の三声ボーカル・ハーモニーの華麗さを際立ててくれてもいます。え?美醜の対比?いやいやいや・・・。
そして何よりこのライブ盤を語る上で外せないのが、観客の盛り上がりっぷり。天下のRAINBOW公演を蹴ってまで駆けつけた熱心なファンが揃っているだけに、例えば“RISE UP AGAIN”のサビメロ部分なんて「そんな長いパートを客に歌わせるなんざ無茶だよ、ゲイリー!」とのこちらの不安を観客が一蹴し、息の合った見事な合唱を澱みなく展開してくれる場面は、本編のハイライトと言っても過言ではないカッコ良さ。そりゃメンバーだって「君ら、バンドに入ってよ!」と感動を露わにしますよって。
一方でメンバーの演奏は終始緩いし危なっかしく、とても「傑作」と絶賛できる内容ではないのですが、個人的には聴く度にほっこりした気持ちになれる味わい深い逸品として、90年代に連発された「LIVE IN JAPAN」物の中では、BLIND GUARDIANの『TOKYO TALES』、グレン・ヒューズの『BURNIG JAPAN LIVE』と並んで愛聴しているライブ盤です。ビデオ版もお薦め。

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