この曲を聴け! 

Audrey Horne / AUDREY HORNE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-01-26 21:13:29)
2010年発表の3rd。

ENSLAVED本体を差し置いてまさかの日本盤発売。
1stを聴いた限りでは、少し消化不良気味(特にヴォーカルの使い方など)に思えてしまい、あまり思い入れは無かったんですが、日本盤の発売と評判の高さに今作を以ってこのバンドに再チャレンジ。

…完成されてる、って感じですね。
1stで感じた消化不良感はどこへやら、ハモンドやメロトロン、繊細なメロディの醸し出す格調高い、アンティークなメランコリックさの支配する、王道ハードロックに近い音に。中途半端に激しい歌い方でイマイチだったヴォーカルも、今作ではこのメロウな世界観の語り部としてしっかり歌い上げ、役割をこなしている感じで素晴らしい。

こういう(ブルースのルーツが見える)王道HRって、バンドがセッションを楽しんでるような、明るさがある(今作にも、ボーナスの「Nowhere to Run」はその傾向が見られる)のでどうも苦手だったんですが、この作品はそれがメロウさ、鬱なムードである程度打ち消されていて、結果HRのグルーヴやキャッチネスといった恩恵のみを享受しているのが、個人的な好みにもフィット。

あと、何気に歌メロも素晴らしいです。
グルーヴ感の強い曲にはそれに合わせたメロディを、ムードたっぷりな曲には歌い上げるメロディを配置していて、しっかりヴォーカルの良さを引き出すものになってると思う。また、時々リフなどのフレーズに近年のENSLAVEDに通じるセンスが、隠し味的に盛り込まれてる気がするのも好感。3曲目のイントロのダークさとか、そんな感じかも。

…色々述べてきましたが、この作品が日本盤出たり、BURRN!誌などのインタビューに載ったり、話題になっているのは、単純に「曲が良いから」だと思う。基本王道HR苦手な私でも食べれてしまう作品なのは、ブラック/プログレ/ゴシックのセンスが盛り込まれていると言う以上に、曲そのものの魅力だと思うし。

ちなみに、買うなら絶対日本盤かボーナスつき限定盤。
日本盤は限定盤のボーナスディスクのアコースティック・セッションの6曲がそのまま納められていますが、こちらも本編並みにアンティークで格調高いムードの曲が納められており、本編を気に入った方なら絶対こっちを選んで良かったと思う出来だと思う。

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