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Abrahadabra / DIMMU BORGIR
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-11-30 18:39:41)
2010年発表の9th。
ABIGAIL WILLIAMSやSOTHIS、GOTHMOGのデビュー作など、良質なフォロワー的作品を多く生み出した彼らですが、本家は更に凄い事になってますね…。

確かに、フォロワー勢もメタルとしての質の高さ、音像の華美さや派手さでは負けてませんが、「オーケストレーションのレベル」は正直、格が違うと思う。この作品のそれは、クラリネットならクラリネット、オーボエならオーボエなど、その楽器が担当すべきメロディにキッチリその楽器を振っている上、音像の派手さでごまかすことなく、しっかり副旋律も緻密に練ってくれているのが素晴らしい。

アトモスフェリック系のブラックなどで、ミニマルな展開や音像を極端に重視する事で、聞き手に呪術的なまでの力で情景を見せ付けるバンドが時折いますが、彼らは緻密にオーケストレーションを練るという、ある意味どストレートな方法で「呪術的なまでの力」を手に入れてしまった感じ。呪術による宗教的恍惚の見せる神秘的な情景を、遂に最新のSFX技術を使って再現する事に成功した、ハリウッド的シンフォニックブラックとして並ぶものがないレベルの作品だと思う。

まあ、オーケストラ主導のパートは絶品ながら、リフ主導のパートが少し弱かったり、Simenが脱退してたりというマイナス点もあるといえばあるんですが、それを差し引いても金字塔的な作品ではないでしょうか。6th辺りではまだオーケストラの派手さ、エクストリームメタルの暴虐さで力押しする場面が多かった気がしますが、今作は凄く造り込まれた、末永く聴ける名盤だと思う。

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