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こ~いち (2000-08-06 01:41:00)
おれは犬が好きだ。とは言っても、飼ったこともないし、子どものころはどちらかというと怖がっていたような記憶がある。

たぶん、「サクラ」という犬と出会って犬好きになったのだと思う。このサクラ、たぶんもうこの世にはいない。去年の今ごろ姿を消してしまったのだ。かなりの高齢(おそらく16歳以上)だったので、自分の死期を悟ってどこか遠いところに行ってしまったのだと思う。

サクラはおれが勤務している会社の研究所で飼っていた犬(メス)なのだ。飼っていたというよりは、研究所を建設していた時点で工事現場に紛れ込んできた野良犬で、そのまま居ついてしまったということらしい。このさくら、繋いでも置かれず放し飼いだったので、日がな一日中好き勝手に研究所内の敷地を歩き回り、お気に入りの場所でひなたぼっこをし、餌は好きなだけ与えられ、みんなからかわいがられるという、まことにうらやましい(笑)、いや恵まれた環境で生活していた。

単なる貧相な雑種犬であり、ちゃんとしつけられていないせいかそれとも年寄りのせいか気が荒くて別に尻尾をふって愛嬌を振りまくわけでもない。それどころか、こちらが近寄ると「ウゥ〜」とかうなられちゃったりして、まあ、客観的にみればぜんぜん可愛げのない犬と言えるのだが、みんなから愛されていたし、おれも大好きだった。

サクラが車に後ろ足を轢かれて怪我をしたことがあって、怪我を治すためにカンパが行われたことがあった。そのとき集まったお金が20万円である。組合主催の年末助け合いのカンパでは職場委員を動員して研究所の守衛所前で半ば強制的に徴収しても12万円ぐらいしか集まらない。犬一匹、食堂にカンパ箱を置いただけで20万円。いかにサクラがみんなに愛されていたかがわかる。おれも、見られると恥ずかしいので人のいない隙をねらって(笑)千円をカンパした口だ。

おれの居室からトイレへ行く途中の通路から下を覗くと、毎日ひなたぼっこするサクラの姿が見えたものだ。サクラが姿を消してしばらくは下を覗く癖がなくならなかった。ひょとして戻ってきてないかなと思って。一年たったいまでも時折下を覗いてみるおれなのだ。いるわけないのにねえ。

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