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Man of Miracles / STYX
火薬バカ一代 ★★★ (2010-10-31 21:01:18)
これは4thアルバムですね。WOODEN NICKELE在籍最後の作品にして、インディーズ時代のSTYXを総括するに相応しいクオリティを備えた逸品です。(発表は'74年)
プログレッシブ・ロック然としたアートワークが物語る通り、この頃の彼らに産業ロック・バンドとしての面影は殆ど見受けられない。その代わり、ハードなGが活躍するロックンロール路線の楽曲と、スペーシーなKeyと壮麗なボーカル・ハーモニーを活かしたプログレ・ハード路線の楽曲、大きく分けてこの2路線から形成される中期STYXサウンドの基礎が、本作にて確立を見た。(・・・と思う)
デニス・デ・ヤングの作曲センスは右肩上がりで上昇を続けており、幻想的なバラード③、アルバム前半のハイライト・ソングたる④、タメを効かせて盛り上がっていく曲展開とメロウなBラインが印象的な⑦、Vo、G、Keyが猛烈に泣き倒す⑨等、これまで以上にメロディが繊細に練り込まれ、より叙情性を高めたデニスのペンによる楽曲群は、その全てが名曲と言っても過言ではないレベル。また泥臭さが薄れ、キャッチーなフックラインが強化された⑧を筆頭とする、ロックンロール系の楽曲の充実っぷりもお見事。そして、本編を締め括るに相応しい壮大なスケール感とドラマ性を兼ね備えたアルバム表題曲⑩は、両路線の持ち味が巧みに組み合わされたアルバムのハイライト・ソングの一つですよ。
個人的にジョン・クルリュスキー在籍時代の作品では最も好きな1枚。WOODEN NICKELE時代のSTYX入門編としてもお薦め。

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