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Heading for Tomorrow / GAMMA RAY
Warlust ★★ (2005-03-26 08:11:00)
HELLOWEENを脱退したカイは、音楽活動を再開するまでの間、音大に通い、音楽理論を専攻している。パワーメタルというゴリ押しメタルの旗手とも言えた彼が、ロック、メタルに留まらぬ「音楽」という存在そのものに対して、恐らくは初めて、腰をすえて向き合ったのだ。その結果が、このアルバムだ。カイ・ハンセンというミュージシャンが、一ミュージシャンとして一回り大きく成長した瞬間である。
カイがいた頃のHELLOWEENは、わりかしベタベタなメロディで勝負をかけていたが、メタルの領域を超えてそのセンスを磨いた結果、恐ろしく鮮烈な曲、メロディを書くようになった。メロディックスピードメタルあり、JUDAS風パワーメタルあり、QUEEN風あり、ポップなビートナンバーありと、その曲の幅は非常に広いが、どれも素晴らしいクオリティとなっている。その体現をガッチリと支えるのが、安定感のあるドラマーとベーシスト、そして言わずと知れた名ヴォーカリスト、ラルフ・シーパーズだ。こうしてあらゆる部分で充実した環境で作られた本作は、トータリティで見るとバンド史上未だ最高傑作なんじゃないだろうか。
現在のGAMMA RAYは、メロスピの親分的な位置づけとなっている感じで、シーンの状況を考えるとそれが一番幸せな姿かな、とも思うが、個人的にはちょっと勿体無いかな、とも思う。もう一度こうした実験要素をふんだんに盛り込んだアルバムを作ってくれないかな、と密かに期待しているが…無理かな、やっぱ。
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