この曲を聴け! 

Jump the Gun / PRETTY MAIDS
cozy_ima ★★ (2007-09-18 22:19:00)
本作は彼らの作品の中では比較的地味な部類に入る。
ほぼ全編に渡り繰り広げられるマイナースケールの
ミドルテンポナンバーは、彼らに対し、ハロウィーン的な
パワーメタルを求めるリスナーにとって敬遠される材料になった。
逆に唯一のスピードチューンであるAttentionは異彩を放つ
かたちとなり、非常に良いアクセントになっている。
またカントリー調のラストナンバーも個人的には
マイナス材料になっていない。
この作品で聴かれる路線は、85年前後のアメリカの
メインストリームに近い。
80年代も後半にいくにつれ、メジャースケールが中心
になってきたが、中期はまだまだマイナースケールこそが
シーンの中心であった。
本作のリリースは90年で、時期的に見れば、もう既に
この路線は時代遅れだった。
私もマイナースケールは、どちらかというと、好んで
聴かないため、当時よりさほど良い印象はなかった。
しかし、あらためて聴いてみると、PRETTY MAIDSが
本来持っているメロディの凄みが、非常に良い形で
現れている。
本作の中で、1曲、アイコンのギタリストが作曲している
ナンバーがある。
(ただ、この曲はアイコンにしては明るめになっているのは
皮肉なような気もする。)
そういう点においても、アイコンの名作である2NDに
共通する部分は多い。
そして、ちょうどその時期のドッケンの名作にも
肩を並べられるだけの質の高さを持っている。
PRETTY MAIDSと言えば、パワーメタルバンド、という印象が
かなり強いが、そういう先入観を抜きにして、純粋な
メロハーとして本作を聴いてみると、あらたな発見が
あると思う。
アイコンやドッケンにも決してひけをとらない名盤である。

→同意