この曲を聴け! 

Belus / BURZUM
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-03-05 21:38:00)
2010年発表の7th。

シーンの中心人物、Euronymousを殺害した事で投獄され、獄中でもアンビエント作品を作っていたCountが新作を発表するということで、その動向がかなり注目されてましたが…

リフ中心の音楽、情景を見せる音楽としても、その手段の軸にあるのがリフということで、これは(生粋の)メタルだと思います。人種差別的思想の関係から、ロックそのものを否定する発言をしていた(らしい)ことや、実際にアンビエントに傾倒していた事から考えると、この作風はかなり意外なんですが…。

音の方は、ミッドテンポで鬱々としたメロディを聴かせる、いわゆる「鬱ブラック」的な曲から、刻みリフを用いた疾走曲など、1stから3rdまでの路線を総括し、磨き上げたという感じでしょうか。ヴォーカルの方も、以前のようなヒステリックな高音絶叫とは違う、(DISSECTIONの)Jonを少し高めにしたような、ドスも効いた叫びで、やっぱり凄みがある。時折挿入される淡々とした語りも、カリスマ性を感じさせる物で、こんな声で危険思想をこんこんと説かれたら思わず洗脳されてしまいそうです(笑)。

スタイル自体はブラックメタルの一つの王道とも言うべき物ですが、やはり彼って才能あるミュージシャンですよね…他の鬱ブラックと比べても、曲の印象度や凄みに、明らかな違いがあると思う。特にそれが感じられるのがメロディ。以前の曲では「Dunkelheit」「Det Som Engang Var」「Spell of Destruction」などに顕著でしたが、彼の書くメロって鬱々としているだけではなく、北欧神話に隠された闇の部分を語るかのような、神秘性もあると思うんですよね…大袈裟に言ってしまえば、「哲学的な雰囲気がある」というか(笑)。

ブランクがあっただけに、その部分に翳りがなかった事には本当に安堵しました。…という訳で、史上最もメタリックで、入りやすい作品になったアルバムだと思います。でもこれ、店で掛かっていて「あ、もう出てるんだ」とレジに持っていったんですが…思いっきりネタバレ(苦笑)。動向や発言から、一体どんな音になったのか、家でゆっくり確かめたかっただけに、ちょっと残念でしたね…。

→同意