この曲を聴け! 

The Root of All Evil / ARCH ENEMY
Usher-to-the-ETHER ★★ (2010-06-13 06:15:00)
Johan Liiva在籍時(1st~3rd)の曲をセルフカバーしたアルバム。2009年発表。
オリジナルと聴き比べると、今のARCH ENEMYの音楽的志向が浮き彫りになる一枚ですね。

ライナーにもある通り、曲の展開やアレンジにも多少手を加えてはいますが…一番変わったのは、曲を聴かせるための音作りだと思う。Andy Sneapによるミックスで、オリジナルで感じられたデス由来の泥臭さはほぼ排除され、シャープかつ硬質な、極めて整った音になった感じ。曲の骨組みは変わってないはずなのに、より正統派寄りの音に聴こえるんですよね…。

こういう音作りなら、やはりJohanよりもAngelaのヴォーカルの方が合うと思う。整ったメタルサウンドには、こういう鋭いスクリームがよく映える。Johanと違い、タメを作らずリズムにジャストで乗せるスタイルも、カッチリした音作りにピッタリですし。相変わらず一見さんにも絶大なインパクトを与える獰猛な声だし、女性らしいハイピッチのスクリームを入れるなど表現力も増してるのがいいですね。咆哮デスタイプのJohanとは全く異なるスタイルなのに、1フレーズに全力投球してるような凄絶さは共通してると思う。

選曲についてですが…個人的に好きな「Pilgrim」「Transmigration Macabre」を演ってくれているのは嬉しいんですが…インタビューで再録を示唆していた「Angelclaw」を結局演ってくれなかったのが残念。Angelaもスクリームとグロウルの使い分けが出来る人ですし、今の彼らの音で聴きたかった。カヴァー曲を入れるくらいなら、「Angelclaw」「Fields of Desolation」を入れて欲しかった…。

ARCH ENEMY初期の、才能が溢れて止まらない感じの名曲群が、今の彼らの正統派としてクオリティの高い音に乗って甦る、聴き比べて楽しい、ここからメロデスに入って良しの優れた一枚。賛否両論ありますが、個人的にはこれはこれで好き。オリジナル、リメイクどちらにも固有の良さがあるのが素晴らしい。

…でも、そう言えるのも、JohanがHEARSEで頑張ってくれてるからで、もし彼がARCH ENEMYを辞めてシーンを去ってたら涙目で扱き下ろしてたかも(笑)。こうして聴くと、ARCH ENEMYにAngela、HEARSEにJohanが在籍という現在の状況は、適材適所なのではないかと思います。

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