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The Snow Tower / FATIMA HILL
Usher-to-the-ETHER ★★ (2009-12-12 20:53:00)
2009年発表の3rd。
このバンドのアルバムは初めて聴いたんですけど、一聴した限りでは落ち着いた雰囲気で
進行していく神秘的なメタル…という印象でしたが、よく聴くと色々な要素が交じってますね。
基本的にはプログレ寄りのアンサンブルを取り入れた、ドゥーミーなゴシックという感じですが
時折入るしっかりとフレーズで主張するギターリフや、華麗さも感じられるキー&ギターソロ、
全体を包み込むようなアトモスフェリックなキーボードなどは、確かに正統派や様式美メタルが
根底にあることを感じさせてくれます。それらの要素を上手く纏め上げ、一つの情景に
昇華させる作曲・編曲能力は流石ベテランといったところですね。
その練り込まれた、絵画的な音の中でも「顔」としての存在感あるヴォーカルも素晴らしい。
低~中音域メインで、下手な男性よりも力強さがありながら、変に体育会系ズレしていない、
呪術っぽさと清楚さを兼ね備えた声なのがツボです。その歌メロも、タイトル曲のキーボードと
融け合うようなメロ、2曲目の一度聴いただけで鮮烈な印象を残すサビ、ラスト曲のJ-POPも
真っ青な歌謡曲メロなどを初め、上質な物が揃っていると思います。全体的な雰囲気の演出の
上手さと、この歌メロでプログレ性や土着性など、マニアックな部分が上手くオブラートに
包まれていて、かなり聴きやすくなっている感じですね。
…このバンドも活動歴が長く、評価も高いらしいですが…確かに、昔のジャパメタっぽさが
そこかしこに感じられるような気がするんですよね…音から見える情景は北欧のゴシックに
通じるものがあるのに。特に変にモダン化していない、音作りの面で強くそれを感じます。

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