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Enter the Grave / EVILE
火薬バカ一代 ★★ (2009-06-06 19:42:00)
帯に付けられた「嗚呼、あの頃を思い出し、目頭が熱くなる!」というキャッチコピーがスラッシャーの笑いを誘った(?)、
英国はヨークシャー州出身の新世代スラッシュ・メタル・バンドが、プロデューサーに名手フレミング・ラスムッセンを起用し、
レコーディング場所にはSWEET SILENCE STUDIOSを使用する等、恵まれた制作環境を得て作り上げた'08年発表の1stアルバム。
近年、続々と登場する若手スラッシュ・メタル・バンドの多くが、どちらかと言えばプリミティブなスラッシュ・サウンドを
追求しているのに対し、こちらは重たく湿った空気に(ドラマティックと表現する程ではないにしろ)カッチリとした
構築性を帯びた曲調といい、SLAMMER辺りを思い起こさせる「如何にも英国産スラッシュ・メタル」といった趣きのサウンドを展開。
特に、刻みの細かい鋭利なGリフと、フックのあるメロディを弾き出すGソロ、スピードに拘りつつも、きっちり緩急を
飲み込んだリズムとが、一丸となってダイナミックに突進する②④⑤、起承転結を兼ね備えた曲展開に惹き付けられる
劇的な⑦といった、EVILEというバンドの魅力が炸裂しまくった楽曲の数々を聴くと、彼らが恵まれた
制作環境を無駄に浪費することなく、きっちりと本編のクオリティにフィードバックしている事が分かる。
今後、同世代のバンドから頭一つ抜き出るためには、本編に強力な「キメ曲」があと一つ二つ欲しいところだが、
ともあれ、METAL HAMMER誌において「期待の未契約バンド」第1位に輝く等、デビュー前から既に高い評価を
受けていたのも伊達じゃないと思わされる、バンドの地力の高さが伝わってくる力作。英国産スラッシュ・ファンは必聴か。
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