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Anno Domini / TORMENTOR
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2009-04-25 20:40:00)
1988年発表の1st。
Attilaのレーベル、「Saturnus Productions」からの再発盤に付いている、Attilaのライナーによると、90年代前半のエクストリームメタルバンドの多くに影響を与え、Attila自身もMAYHEMに見出されるきっかけとなった作品とのことですが…確かにそうした「ハク」に負けない魅力のあるアルバムですよね。アルバムを構成する各要素が上手く噛み合って、得体の知れないパワーが生まれている感じ。
まず作風ですが…この時期ってまだ(サタニックな)スラッシュとブラックが別れきっていない頃で、ちょっと敬遠してたんですが…これは既にスラッシュ寄りのブラックと言っても良さそうなスタイルですね。トレモロリフもあるし、攻撃性やスピードよりも「ムード」を重視する、ブラックメタル特有の感性がしっかり息づいていて、それをスラッシーなスタイルのもたらすアングラ感で表現している感じです。
ヴォーカルは、彼のトレードマークと言える呪詛ヴォーカルとは少し違う、ドスの効いた潰れ声でテンション高く喚き散らすスタイル(Buried by Time and Dustに近いと思う)ですが、この歌い方でも呪わしさみたいなものが滲み出ていて、Euronymousが「呪詛系ヴォーカルをやらせるなら彼しかいない」と白羽の矢を立てたのも凄く良く分かる。
音質は…11曲目で少し録音が乱れているものの、フレーズはしっかり聴き取れ、丁度良い汚さ/アングラ感でかなり良い方だと思う。録音レベルが少し小さいものの、私的には十分許容範囲内。…この「スラッシーでムードのある作風」「テンションの高い潰れヴォーカル」「ダーティな音質」が、全て噛み合ってプラスの方向に作用して、アンダーグラウンドの名盤と謳われるのも頷ける出来になっていると思うんですが…多分、これ計算してやってる訳じゃないんだろうなあ…そこが凄いんですけど。
聴いてると、黎明期のブラックメタルバンドがいかに影響を受けてるか分かって面白いです。特に「Elizabeth Bathory」をカヴァーしたDISSECTIONの1stなんて、リフやリズムのフレーズ、ヴォーカルエフェクトに至るまで結構意識してると思わされるところがありますもん。ブラックメタルをより興味深く聴くためにも、聴いてみると良いかもしれません…と、実はVENOMすらまだ聴いてない私が言ってみます(笑)。
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