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球体 / ムック
Usher-to-the-ETHER ★★ (2009-03-30 17:06:00)
09年発表、8枚目のフルアルバム…ムックもそろそろベテランですね。
メタリックな演奏をこれまで以上に濃くすることでAVENGED SEVENFOLD辺りを好んで
聴いてるようなメタラー、洋楽ファン層を射程に入れつつ、歌謡的な歌メロも重視し、
ヘヴィ過ぎない歌詞世界を打ち出すことで一般のロックファンにもアピールすることが
狙いなら、これはかなり成功しているといえるんじゃないでしょうか。ちょっとした
打ち込みとか、ヴォイスエフェクトとか今風の要素も結構取り入れてますし。
反骨精神や頼もしさがありつつも、巧みに繊細で弱い部分も見せる歌詞はどこか少女漫画の
不良(当然イケメンで、根は優しい)を思わせますね(笑)。これならV系ファンのちょっと
屈折した女の子もグッと来てしまうのではないでしょうか。アルバムの購入特典の懸賞の
プレゼントにはメンバーの抱き枕、なんてものもありますし(爆笑)。世界観も暗すぎないので
アンチから「根暗」と後ろ指を差されることもないだろうし、一般のロックファンからも
敬遠されにくいんじゃないかと思います。良かったね。
…たかが1ファンがここまで大きくなったバンドに「解散して欲しい」と言うなんて
おこがましいと思う。まして私みたいな、ツアーで全国追っかけてくような熱心さなんて
欠片も持ち合わせてないようなファンなら尚更。だから私は言いません…言いませんが、
「解散して欲しい」っていう人の気持ちは凄く分かる。ある意味「葬ラ謳」や「朽木の灯」
よりも涙腺を刺激されました。
…ここまでかなり皮肉なこと言ってますが、駄作かと問われればそうではないと思う。
演奏、メロディ、アレンジ、歌唱ともに高水準で、特にラスト2曲や「レミング」は
憎たらしい程メロディが良い。…だから自分の中で、期待するのを止められないんですよね。
まあV系という文化を代表して、かつ音楽通にも侮られない質の高い音楽を作っているという
ポップアイコン的な存在としては、第3、第4の「葬ラ謳」「朽木の灯」みたいな作風の
アルバムを作るよりも、これくらいのライトさがあった方が良いのかもしれませんが…。
バンドが音楽性を変えていくのはいいし、絶望感がなくなることもまあ良いんですけど、
「葬ラ謳」で感じられた、「どうよこの世界観、すげえだろ?」みたいな圧倒的なあの感じは
保っていて欲しいなぁ…どうも最近のムックの作品って、自分たちの作っている作品の世界観に
自分たち自身が以前ほど酔えていないような煮え切らなさがあるんですよね…。

→同意