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Paris Spleen / ATARAXIA
Usher-to-the-ETHER ★★ (2008-08-18 15:45:00)
詳細は分かりませんが、2006年発表の17thアルバムらしいです。
「フランス・パリのキャバレーを題材にしたコンセプトアルバム」「所属しているレーベルが
Cold Meat Industry」という2つのキーワードから、「これは頽廃的な雰囲気に浸りきらせて
くれる作品を期待できるのでは…」と思い買ってみたんですが、見事に期待に応えてくれるアルバムでした。
作風的には、アンサンブルにアコーディオンやピアノ、ストリングスやブラスなどを用いた
舞台音楽…という感じですが、ヴォーカリストのMadame Bistouriの妖しい表現力がかなり
光ってますね。元々曲自体の不条理性や頽廃性も強いですが、美しいソプラノから
おどろおどろしい語りまでをこなす彼女のヴォーカルがそれを何倍にも引き立てている感じ。
所属レーベルから期待されるようなダークさや妖しさはありつつも、意外にもメロディ自体は
華美で聴きやすい。この頽廃性と華やかさが同居する雰囲気、「享楽的」というと近いでしょうか。
アングラで前衛的な演劇を見ているかのような不条理な感覚を分かりやすく伝える音楽性は、
メタルで言うとUNEXPECTに通じる物があるかもしれません。
ともかく現実を忘れ、一時の享楽に浸るには最適のアルバム。
…それにしてもこのアルバム、かなり作りこまれてると思うんですが、もう17枚も作ってるんですね…。
世界観の演出は凄みを感じるほどに全くブレることがありませんが、こういう演出力もその賜物なのかもしれません。

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