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De Occulta Philosophia - A Missae Tenebrae / VENEFICIUM
Usher-to-the-ETHER ★★ (2008-09-22 22:30:00)
私も周りの評価が高いので買いました。基本ミーハーなので(笑)
…ミーハーで良かったです。これはシンフォブラックの新たな名盤ではないでしょうか。
路線としては宗教的なキーボードをバンドサウンドを食う勢いで敷き詰めたシンフォニック
ブラックという感じなんですが、聴いていてまず思ったのは、かなり音響に気を使っていて、
しかもそれが功を奏している…ということですね。
ギターの音圧もそれほど高いわけでもないし、ドラムは軽めで一聴してチープな印象を
受けるかもしれませんが、この音がそれらを飲み込んでしまうような大仰なキーボードと
合わさると、何かドス黒いものからオーラが立ち上っている様な雰囲気があるように思います。
時折キーが少し引いた時など、ここぞという所でトレモロリフが切り込んできますが、これが
オーラに包まれた「邪」が垣間見えるかのような感じでゾッとするんですよね。
1stにして、邪悪さの表現が確信に満ちている感じ。感性で(=天然で)やってるのかも
しれませんが、この雰囲気の演出の上手さは尋常じゃないです。取り憑かれたように絶叫する
ヴォーカルや、超がつくほど荘厳かつ大仰ながら、甘くなりすぎる事のないメロディなど、
シンフォニックブラックとしての基本部分のレベルも当然の様に高い。
シンフォ要素をメジャー感や聴きやすさではなく、その神秘的な音色を主に邪悪さを醸し出す
方向で用いてるという意味では、EMPERORの1stやLUNAR AURORAの一連の作品とも共通している
と思いますが、それらに負けないだけの質の高さがあると思います。また、それらのバンドと
比べると、「頽廃性」が高いのも特徴ですね。キリスト教文化による世界が脆く崩れる中、
悪魔がパイプオルガンを弾きながら自らの時代の到来を祝福しているかのような感じの音。
…これは音質もギターの刺をキーが包み込んでいて聴きやすいし、キーにしろトレモロリフに
しろアルバムを通してメロディアスでない部分がないくらいメロディアスなので、ブラックを
聴きはじめの方にも充分お勧め出来ると思います。むしろ妖星乱舞(FFⅥのラスボス曲)って
かっこいい…と思ってる人に聞かせたら、ブラックメタラー一名様ご案内…ってことに
なってしまいそう(笑)。冗談じゃなく、それくらい力のある名盤だと思います。

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