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Carriers of Dust / MIRRORTHRONE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-07-26 11:34:00)
2006年発表の2nd。

クレジットによると、作曲や演奏だけでなく、プロデュースやミックス、マスタリングに至るまでVladimirという人物が家で行ったと書いてありますが…信じられない。天才と呼ばれるアーティストが多いこの界隈、彼は天才の中の天才と言えるのでは…。

路線的には、チャーチオルガンやチェンバロ、フルートやストリングスなどが舞い踊る、LIMBONIC ART(の2nd)やANOREXIA NERVOSA辺りにも匹敵する、もしくはそれ以上のシンフォニック・ブラック。20分越えの曲を含む、大作主義でドラマティックな作風も大きな特徴と言えるでしょう。

また、これだけシンフォにしながらも、バンドサウンドの方もブラックらしいトレモロを随所に織り込んだフレーズ面、音の壁が立ちはだかるような音響面でもシンフォ要素に負けてないのが素晴らしい。
ただシンフォな音をメタルサウンドに乗せるだけでなく、その二つが絡み合い更なる高みに上り詰めていく様は圧巻。

展開も平均10を超える大作をスムースに聴かせるだけの巧みさがあるし、メロディもこれだけクサメロを乱舞させておきながら、変にダサくならず、常に厳かでどこか背徳的な香りを漂わせている辺り本当にセンスが良い。

ヴォーカルも低音デスヴォイスには下手な専任Voよりずっと迫力があるし、OPETH似の普通声もアカペラでセルフハモり入れるパートでも全くアラみたいなものを見せない歌唱力の高さがありますね。
音質もシンフォ要素とバンドの音の両方をクリアに聴かせる鮮明さで、音量も適正な大きさで全くもって問題無し。

…しかもブックレットの写真を見ると、Vladimir氏はなかなかのイケメン。
ほんと、憎たらしいくらい欠点が見つからないですね(笑)。敢えてアラを探すとすれば、ドラムの音はもう少し改善の余地アリかも。このクオリティならば、シンフォ系苦手な人でも何か凄いものに触れた事は分かるでしょう。こんな凄いものを独りで作り上げた人がいる事がまず驚きだし、この質で日本盤出ないのはもっと驚き。シンフォ・クサメロ好きなら必聴です。

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