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Master of Disguise / SAVAGE GRACE
火薬バカ一代 ★★ (2008-03-08 00:34:00)
AGENT STEEL等と共に、アメリカの元祖スピード・メタル・バンドとしてその名が挙げられるLA出身の5人組。
クリスチャン・ローグ(G)を中心に'81年に結成され、当初はMARQUIS DE SADE(マルキ・ド・サド)を名乗っていたが、
『METAL MASSACRE Ⅱ』への参加を期にSAVAGE GRACEと改名。'83年に5曲入りEP『THE DOMINATRESS』で
レコード・デビューを飾った後、'85年にBLACK DRAGON RECORDSから発表した1stフル・アルバムがこれ。
デビューEPは、センス皆無のジャケット・デザインといい、劣悪なサウンド・プロダクションといい、冴えない楽曲といい、
かなりしょっぱい内容だったが、本作では一転、そこから飛躍的な成長を遂げていて、ポール・ディアノ時代の
IRON MAIDENを更にハイパー化したかの如き、アグレッシブでスピーディ、且つドラマティックなサウンドは問答無用のカッコ良さ。
特に、初期メイデンへの強い憧憬が滲み出る組曲形式の①~②の展開、切り裂くように突っ走るハイテンションな④、
攻めの姿勢を持ったツインG(因みに、Gの片割れは後にOMENを結成するケリー・パウエル)を伴って劇的に疾走する⑥、
一際ドラマティックなリフ・ワーク炸裂するラスト・ナンバー⑨といった、前のめりな勢いに満ちた
スピード・チューンの数々のカッコ良さは格別。
まぁ、今の耳で改めて聴き直すと、相変わらず音質もジャケも冴えないし、「タミフルを服用したロニー・J・ディオ」
といった趣きのヒステリックなVoの歌唱も好き嫌いが分かれそうだしで、B級メタル臭は隠しようもないのだけれど、
とは言え、B級だろうが何だろうが、本作が捨て曲なしの完成度の高さを誇る点は間違いない事実。
正統派HMファンのみならず、スラッシャーにもお薦めできる1枚。

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