この曲を聴け! 

Roman / SOUND HORIZON
Usher-to-the-ETHER ★★ (2006-11-22 01:49:00)
「少年は剣を…」がオリコン10位以内にランクインし、売り上げも順調なSOUND HORIZONのメジャー3rdとなるアルバム。

今まではヴォーカルはAramaryさんが担当していましたが、このアルバムの前に出たマキシシングルの「少年は剣を…」からは曲によってヴォーカルを替えるスタイルへとスイッチしたようです。今作では「となりのトトロ」の主題歌で有名な井上あずみさんも参加。どの人も世界観にあったヴォーカルだと思いますが、私的にはREMIさんの歌声がクラシカルな叙情の中にもポップさを込める事に成功していてお気に入りです。

ナレーションも今まではメンバーがやっていたようですが、この作品ではプロの声優の人を起用しているみたいですね。そのせいかナレーションの大袈裟さは更に磨きが掛かってます(笑)。このアルバムの情報が出た時、参加ナレーター/声優の多さから私が彼らの最も良い点だと思っている「歌メロのキャッチーさ」が減退してしまうのではないかと心配していたんですが、前作「ELYSION」と比較しても歌メロの占める割合は減っておらず、ヴォーカルのミックスは心なしか大きくなっているように感じられ、むしろ曲における歌の重要度は増しているのではないかと思います。

曲は後半にミディアムテンポが集中しすぎの感はありますが、1曲毎に展開が増え、更にドラマティックさに磨きが掛かった感じです。いつもながら多彩な楽器を使用し、幻想的な雰囲気でリスナーを取り込むアレンジもやっぱり素晴らしい。マキシからは「緋色の風車」の一曲が収められてますが、アレンジが変わって更にパワーアップ。

ストーリーは…今回は今までの作品とリンクする部分が多くなっている代わりに、曲ごとの繋がりは希薄になってしまった…というか、作品内でどの曲がどう繋がっているかの解釈がリスナーに丸投げされてる印象も。やっぱり一貫したストーリーが欲しかったです。

その他に、不満な点も2つ程…。
一つは、一曲に展開を詰め過ぎなせいで、アラビアン風の「魔法使いサラバント」やマーチ風の「エルの絵本【笛吹き男とパレード】」のような際立った個性を持った曲が減ってしまった事。私はこのグループを「今まで聴いた中で最もキャッチーな歌メロを書くアーティスト」だと思っていたんですが、そのせいでほんの少しだけそれに翳りが差したように感じてしまいました。そうはいっても、相変わらず素晴らしいメロディのオンパレードで、Aメロに当たる部分でさえ普通のバンドならサビでもお釣りが来るようなメロディばっかりですが。

もう一つは、男声がリードヴォーカルを担当する曲が3曲あるんですが、ちょっと濃すぎる事。1曲目の人は全く合っていないように思うし、Jimangさんの歌は濃すぎてメロディが喰われてる感じがします。男性ヴォーカル入れるのは良いけど、もっと上手い人を連れてきて欲しいですね…。例えばカウンターテナーだけどカチニカの湯澤さんとか。

…結構きつい事も書いてますが、かなりの力作には違いないかと。
インパクトでは前作の方が上だったんですが、展開が結構凝っている為、聴き応えのあるアルバムに仕上がっていると思います。しかしこれだけドラマティックな曲が作れるなら、1曲20分のプログレ大作を3曲収録とかやって欲しいなぁ…。目指せ和製DEVIL DOLL、みたいな(笑)でもこれだけ売れちゃうと、周りの状況が許してくれなさそうですが。

→同意