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Grimoires / TYRANT
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2009-05-02 18:34:00)
2005年発表の3rd。

ピアノやストリングス、クワイア風空間系など様々な音色のキーボードが、重層的に絡まりあい耽美さを演出するシンフォニックブラックで、個人的には「Dusk~」「Cruelty~」期のCRADLE OF FILTHにも通じる、ゴシックホラー的な景色の見える音だと思う。メロディが明らかに洋ものゴシック系で、一聴しただけでは日本人とは気付かないような出音なんですが、そのメロの耽美さがCOFよりもかなりあからさま(MIRRORTHRONEクラス?)で分かりやすいものになっている辺り、やはり異文化を咀嚼するのが上手い日本人らしいと思う。

その分かりやすい耽美メロを派手なキーボードで奏でつつ、トレモロリフも絡めて疾走するパートなんかはブラッカーのみならず、クサメタルやメロデス好きも魅了される事請け合い。…この辺り、やっぱり日本人だなぁ…とか思ってしまいますね(笑)。

音質は良好ながら、キー以外のバンドサウンドが、少し翳りのある音だと思うんですよね。でもそれが、どす黒い雲に覆われたような不吉な雰囲気を醸し出していて、キーボードのゴシック的な耽美さと完璧にマッチしてると思います。ヴォーカルは少しダウナー入ったがなり声で、悪くはないですがもっと凶悪な方が個人的には好み。

元1349のメンバーが演ってるシンフォブラックで「PANTHEON I」というバンドがいますが、あのバンドが分かりやすい耽美さを求めて進化していったらこんな感じだと思う。ヴォーカルの歌い方もかなり似てますし。例えばSIRIUSとかABGAIL WILLIAMSとか、このバンドよりも大仰な音像を出してるバンドは結構いますが、これほどゴシック的な耽美さを出せてるバンドは珍しいと思う。世界観は徹底して作りこんでありながら、愛想も良いので、これからシンフォブラックを聴いてみようという向きにも推薦。

しかし、2ndはこれよりキャッチーなんですか…聴いてみたいなぁ…。

→同意