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Neurodeliri / BULLDOZER
火薬バカ一代 ★★ (2008-10-27 22:57:00)
自殺してしまった初代B、ダリオ・カーリアに捧げられた'88年発表の4thアルバムにして、BULLDOZER最後の
フル・アルバム。(アルバム・タイトルは、そのダリオが活動していたバンド名から取られているらしい)
激烈に疾走しまくるSLAYER直系のスラッシュ・ソングと、バイオレントなロックンロール・スラッシュの2本立てに、欧州のバンドらしい
ドラマティックなメロディと曲展開をブチ込んだ音楽性は、傑作だった前作『IX』の作風を順当に継承しているが、今回は更にそこに、
単なる装飾を越えて大胆に導入され、楽曲に一層のスケール感と禍々しさを演出する、Keyの存在が一際異彩を放っている。
取り分け、荘厳な序曲を経て、禍々しさを撒き散らしながら突っ走るOPナンバー①や、起伏に富んだ曲展開をKeyの音色が
大仰に装飾する⑤、邪悪且つドラマティックに本編を締め括る⑧辺りは、後に登場するメロディック・ブラック・メタルの
スタイルを先取りしたかのような楽曲だし(そもそもBULLDOZER自体、ブラック・メタルの元祖的存在のバンドなわけだが)、
④に至ってはKeyとGがバトルを繰り広げる(!)異色のパワー・メタル・ナンバーに仕上がっている。それでいて奇を衒ったような
印象はまるでなく、何よりも、アルバム全編を貫く「爆走感覚」に全く鈍りが見られない点が素晴しい。(下品さも健在だ)
METAL MINDからの再発盤には、黒人ラッパーをメンバーに加えてファンを引っ繰り返らせた'92年リリースの
EP『TRILOGY-DANCE GOD SICK』より1曲がオマケ収録されているのだが、色物感溢れる組み合わせにも関わらず、これが実に真っ当な
スラッシュ・ソングに仕上がっていて、巧みに取り入れられたラップVoが生み出す疾走感と切迫感は文句なしでカッコイイ。
実験的な要素を導入しつつ「らしさ」も失っていないという、曲作りの上手さがキラリと光る、バンドの有終の美を飾るに相応しい1枚。

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