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Live Your Live Forever / ZAR
火薬バカ一代 ★★ (2008-01-28 21:19:00)
トーマス・クラウス(G)とジェリー・シェファー(Key)が中心となって80年代末に、ドイツは
シュツットガルトにて結成された4人組ハードロック・バンドZARが、'90年に発表した傑作1stアルバム。
ボーカリストとして、URIAH HEEPやLUCIFER'S FRIEND等での活動で知られる名シンガー、ジョン・ロートンが
参加している事でマニアから注目を集めたバンドだが、本作で聴かれる彼の凄まじい歌声は、声の張りといい、艶といい、
高音の伸び具合といい、多くのファンが「これぞロートンのベスト・ワーク!」と太鼓判を押すのも納得の、
殆ど神憑り的と言っていいレベルを誇る。何せこれを聴いたリッチー・ブラックモアが、自分のバンドのシンガーに
ならないかと声を掛けた・・・というエピソードが残っているぐらいなのだから、その凄さが分かろうと言うもの。
無論、幾らVoだけ素晴しくても、楽曲がお粗末だったら話にならないわけだが、ここに収められている楽曲の数々は、
メロディアスにしてキャッチー、かつドラマティックという、何れもヨーロピアン・ハードロックの美意識を
凝縮したかのような、ハイクオリティなナンバーばかりで、当然の如く捨て曲は皆無。
中でも、雄弁に「歌う」トーマスのGと、プログレ感覚溢れる華麗さで劇的さを高めるジェリーのKey、
そして目の覚めるようなハイトーンを響かせるパワフルなロートンのVoという、ZARの三本柱が
揃って高いレベルで機能している必殺の名曲③⑤が並ぶ、アルバム前半の完成度の高さは驚異的。
これだけ日本人好みのサウンドにも関わらず、リリース当初は日本未発売だったという事実と、現在では国内盤廃盤という
状況が俄かには信じ難い、隠れたメロディアス・ハードロックの名盤。メロディ愛好派は聴かずに死ぬことなかれ。

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