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See Through (失恋船長)


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See Through

タイ産のグラム系ハードサウンドが売りのバンドによる2024年にリリースされたフルアルバム。何人編成かも良く分からないが、日本人好みのメロディアスなハードサウンドを展開、情念を漂わせる熱唱は日本の演歌にも通ずるモノがあり、アジアンロックとしては同系統と言えるだろう。
それだけに、この洗練されたサウンドメイクは、日本人好みのなれど、実は日本では見当たらず、アジア圏では重要なピースを埋めていると言える。まぁ、アジア諸国のロックに精通している訳ではないので、大風呂敷を広げるつもりはないのだが、彼らは少なくとも二昔前の東南アジア系の、二線級扱いされるようなバンドではなく、むしろ現代のバンドが忘れている大切なものを、純粋に育んでいる。

こんなもん単なるL.Aメタルのパクりだろ、と言われると返す言葉は見つからないのだが、個人的には、たまには頭を空っぽにして理屈抜きに、壮快感たっぷりなロックを聴きたいと思う日がある。この雲一つない青空の如き健康的で爽やかなサウンド、そして適度にハードで抜けのイイ音は、往年のヘアメタル勢よりも洗練されており、恥ずかしくて全力でやれないよと言うような音を全力で鳴らしてくれる。

突き抜けるハイトーンも嫌味がなくヒステリックになる手前で止めてくれる。ギターも巧者、鍵盤プレイも裏で心地よく鳴り音楽性を広げている。リズム隊も元気いっぱい、この洗練されたハードサウンドに重量感をもたらしている。まぁ歌を聴かせつつ、バラード多めでもギターオリエンテッドな作風なのがいい。アニメの主題歌やエンディングテーマに選ばれても違和感のない楽曲もあったりと、もし90年代にメタル系バンドがグランジに汚染されなければ、こういう音になっていたんだろと思うような懐かしさがある。

良い意味での歌謡テイスト。アジア圏ならではの味わい。まるで○○のようだとか粗探しをしない素直な心持ちのマニアには聴いて欲しいですねぇ。サブスクなら無料でしょう。フロンティアとかと契約してもおかしくないバンドサウンドですよね。
タイ語と英語が混じるのですが、日本人なら違和感ないのでは?ワタクシは何十年国籍を問わず音楽を聴いていますが英語の訛はサッパリ分かりませんので、違和感はありません。以外と日本語よりもハマっていると思いますね。

失恋船長 ★★★ (2024-11-28 01:53:53)