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Vanadium Tribute (失恋船長)


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Vanadium Tribute

イタリアのHM/HRにおいて黎明期を支えた伝説のバンドVanadiumその屈強なサウンドは、伝統的なスタイルを堅守するものであり、正統派メタルファンに取っては頼もしい限りでしたが、メタルバブルが隆盛を極める80年代末期にメインストリーム寄りのサウンドで勝負。結局は負け組となりシーンから姿を消す。90年代に一瞬復活するもバンドは凍結されてしまった。

そのイタリアンメタルの雄、我らがVanadiumが返ってきた。厳密に言えば、新たなるプロジェクトだが、シンガーとドラマーの声かけで実現した再始動バンド。結局シンガーのジュゼッペ・スコット・ディ・カルロことピノ・スコットだけ残ったが、彼は看板シンガーだったので、あの声があればVanadiumという事になる。新曲は3曲のみ、あとはVanadiumのカヴァーという、アルバムタイトル通りの内容。それだけに、変則的な形ではあるがベストアルバムのような出で立ちとなったが、このバンドを知らない人には最適の一枚となるだろう。

懐かしきハモンドオルガンの音色。そこに絡むメタリックなギターとワイルドなドラム、ベースは賑やかなサウンドを裏で支え王道路線を皆でキープ。2005年にリリースされた今作だが、その背景を考えただけでもニヤリとさせられる。

商業誌がアメリカで売れているオシャレロックを前面に押し出している時代に、既に地下では、こういうトラディショナルなメタルが復権するムーブメントが起こり、思考停止しているメディア論者以外の耳には確実に届いてた。
このバンドがかき鳴らす古典ロックの旨味。その実直な姿勢は少々、声に衰えを感じさせるモノだが、サウンドは鮮度があり巧みに打ち消している。ある意味、リアルな等身大の姿を反映させた。それだけに、リヴィングレジェンドとかしたピノの歌声はイタリアンメタルシーンの生き字引として、高らかに噛みつきシャウトをかましてくれる。

変則的な形故に、正統なアルバムとして認めるのは難しいが単なるカヴァーアルバムで括るのも違う。やはりメンツも時代背景も違うからだ。でも高らかになるハモンドの音色を聴かされると、細かいことなどどうでも良い。
この古典ロックを全身で浴びればよいのである。ワカチコワカチコ楽しんだモノ勝ちだ。配信盤がなさそうなのは残念だが、本家はあるので、是非とも正統派メタルファンのマニアはVanadiumに手を出して欲しい。

失恋船長 ★★★ (2024-10-06 14:39:04)