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ONCE (1998年)
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ONCE
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解説 - ONCE
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1. 失恋船長 ★★★ (2024-07-20 09:02:19)

アルバム一枚で消えた幻のAOR系ハードバンドのフルアルバム。リリースはMTMから1998年、国内盤もあっただけにクオリティは折り紙付き、リリース時、参加メンバーで一番知名度が高かったのが今作でリードヴォーカルを担当する元TOUCHの才人、ダグ・ハワードという、遅れてきたルーキーだっただけに、ネーミングライツでは劣るのだメロディックメタルマニアの間では名盤と溺愛される一枚。

個人的にはリリース時期も悪かったが一番のマイナスは黄色が強すぎるグラデーションの掛ったジャケットに尽きると思っている。とてもではないが、こんな爽快で泣かせる叙情派サウンドを奏でるバンドとは思えない最悪のイメージショットが問題だったと思っている。

またバンドのメインはベースのポール・マイケルとギターのマイケル・マッケイブの二人、バンドの原型は昔からあったと言われているだけに、今作が時代を問わない普遍性を持っていることに合点がいった。
とにかく混じりっ気なしの叙情派ハードサウンドを展開、そこに力強いハスキーヴォイスが絡み、多種多様なサウンドと真っ向勝負。なにより、キーボード主体のキラキラ系ではないので、シャレオツなヤツはちょっとと思うマニアを振り向かせるだけに力強さがある。

とくにギターのマッケイブはかなりの実力者。その引き出しの多さに舌を巻きますね。だからこそ、バラエティ豊かな唄モノロックをより彩りのあるものへと高めている。極めて高いソングライティング力に支えられた今作、リードヴォーカルとして素晴らしい歌声を披露したダグの貢献度、ドラムもゲストで複数クレジットされているがパワフルなリズムを叩き出し軟弱さを排除。ノリが良くテンポアップされた曲も多いので、ノリノリで楽しめます。

とは言えヒットに繋がったとはならずバンドは今作一枚を残し消滅。配信盤もない状況なので完全に忘れ去られた存在となりました。またアメリカのバンドなのに、本国でリリースされなかったというのも痛い。そんな絶望的な知名度とは駆け離れたクオリティ、哀愁のメロディが好きでハードなギターが絶妙な頃合いで顔を出すバンドサウンドが大好きなマニアならば、腰を上げずにはいられないでしょう。類型的なスタイルと言われガチのサウンドの中で、このバンドを頭一つ突き抜けた安定感がある。
コンパクトな作風は聴きやすさを最大限まで誘発、その中にドラマと展開があり飽きさせない工夫を凝らしている。楔となるギターソロも確実にクライマックスとなる見せ場を設け、聴き手のテンションをキープ、気がつけばリピート再生の罠にはまります。

ランニングタイムを短いし本当に聴きやすい作風なんだよなぁ。力点がロックなんですよね。メロディアスな作風なんですけど、パンチが効いているんですよ。このまま埋もれされるのが惜しいわ。残念で仕方がありませんね。
まずはサブスクリプション解禁でしょうよ。どこぞのレーベルが腰を上げんかね。勿体ないわ。



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